最近、ブログにおける更新の頻度について考えることが多かったので、今回はそのことについて少し書いてみたいと思います。

この「頻繁に更新する」というのはしばしばアクセスを増やすのに必要な要素として挙げられます。先日このブログに投稿した「ブログにトラフィックを呼び込むための19項目」でも「できるだけ頻繁に投稿する」ということが最初に挙げられています。

このとき紹介した記事は、古いブログのアクセスアップのヒントをソーシャルメディアの普及した今日的な状況から考えて再構成する目的で作られたものですし、そういう意味では今も昔も状況は変わっていないと考えても良いのでしょうね。

とはいえ、ここでいう「更新する」というのはただ更新すれば良いという意味であげられているのではないと思います。少し違った観点からですが、「更新頻度」について興味深い考察をしているのがLisa Barone氏の「The 5 Old Blogging Rules Killing Your Readership」という記事です。「あなたの読者を苦しめる古いブログの法則」とでも訳せば良いのでしょうか。以下にその一部を引用します。

古びた法則: 優れたブロガーは毎日記事を投稿する

古いブログの法則のひとつめは、あなたが毎日そうしなくてはいけないというものでした。(…) 日々の投稿はより多くのトラフィックと、より多くの愛着、そしてより良い読者のトレーニングを意味していました。ご存じでしょうが、初期のブロガーはその読者を私たちのほとんどが子犬、つまり、飼いならす必要がある存在を見るように見ていました。

そして、定期的な投稿はかつてのブログの基本的なもの(the bread and butter)だった一方で、今では頻度は無益であり、事実、読者を疲れさせる結果に終わります。それはまた、情熱を奪うだけでなく、ブロガーを、24時間眠らないメディアに迎合するのに忙しく、それゆえ散歩に出ることもないロボットに変えてしまい、ブロガー疲れにも繋がります。それは心身を疲労困憊させます。

新しい法則: あなたが何かいいたいことがある時にブログを書きましょう。もし情熱が情熱を生むならば、退屈は退屈を生みます。もしあなたが何か伝えたいことがあるのではなく、責任感から毎日ブログを書いているのだとしたら、あなたはあなた自身もあなたの読者も傷つけています。(…)

少々過激な書き方になっていますが、Barone氏の論じている内容は明確ですし、もっともなことだとも思います。ただ闇雲に投稿数を増やすことはブログの価値をかえって損ねてしまうでしょう。

実際、私自身、他人の記事をただ貼り付けただけの記事や数行で終わる記事を続けて投稿しているブログ記事を見かけることがありますが、RSSで更新が通知され楽しみにアクセスしてもがっかりしますし、それが続くと二度とそこに訪れようという気にはなりません。ブログを書くときには頻度だけではなく投稿した際の情報の正確さや、内容の深さ、便利さ、オリジナリティなどが重要になるはずです。

またアクセスを増やす、読者を増やすといっても、明確なターゲットもなく増やす必要はないと思います(もちろん、それ以前にある程度まとまったアクセスがないと話にならないというのも事実ですが)。読者数が限られていても、自らがターゲットにしている読者層を確実に増やしているかという点が重要ではないでしょうか。

そもそも自身のブログをどのようなものとして扱うかによってこれらは根本的に変わってくると思います。できるだけ幅広い層、可能な限り大きいトラフィックを求めてブログを運営するのか、あるいは、特定の層に特定の目的を持って運営するのか、といったように。

また投稿の頻度は人びとの注意を引き付ける目的でも行われます。これは特にブログが主要なメディアであった頃はそうでしたが、今日、TwitterやMixi、Facebookなど、ソーシャルメディアがブログの投稿に代わって、ある程度人びとの注意を引き付ける役割を果たせるのではないか、あるいは果たしつつあるのではないか、とも考えています。

投稿の頻度はこれまでと同様に、今後も重要であり続ける一方、それが投稿の中身を乏しいものにしてしまってはせっかくの読者を逃してしまうかも知れません。

また情報ならばいくらでも代わりがある今日、中身が薄いことはBarone氏のいうように、かえって読者に苦痛を与える結果になる可能性もあります。無理して毎日投稿するぐらいなら、投稿頻度を下げて、ブログの中身を吟味することに時間を割いた方がいいのではないでしょうか。

私もいつか毎日投稿できるようになりたいと思いつつ、今はひとつの投稿でできるだけ面白いものや中身の濃いものを提供できるよう心がけています。実際なかなか思うようにはいかないんですけれどね。